息子は泣き虫
あれはいつだったか。
わりとどうでもいいようなことでぴ〜ぴ〜と泣いている息子に、「そんなどうでもいいことでいつまでもぴ〜ぴ〜泣くな!」と怒った。だってほんとに(まあ、私から見れば、だけど)どうでもいいような小さいことでぴ〜ぴ〜といつまでも泣いてて、うるさいんだもん。
ちなみに、こういう時は「男のくせにXXするな」という言い方はしないようにしている。それはさておき、この時は、だってほんとに(まあ、私から見れば、だけど)どうでもいいような小さいことでぴ〜ぴ〜といつまでも泣いててうるさいかったからf^^;;
そうしたら、相変わらずぴ〜ぴ〜と泣き続ける息子が一言。
「だって涙が出るんだもん!!泣きたいんだから泣いたっていいじゃん!!」
そしてまた、ぴ〜〜〜〜。
そっか、そうだよね。
泣きたいんだから、泣けばいいのか。
(別に人様に迷惑をかけてるわけでもなし)
と、その時、みょ〜に納得してしまって(笑)
「そだね。泣きたいんだから、泣いたらいいよ」と言ってしばらくほっておいた。(やっぱりうるさかったけど)。
そして先日。
空いていた窓から、家の前で隣の子供と遊んでいた息子のけたたましい泣き声が聞こえた。
「うっわ〜ん」というか「ふっにゃ〜ん」というか。
何ごとかと思って見てみると、どうも隣の子にスケボーの乗り方を教えてもらっていたら、(初めてだから当然だけど)バランスをくずしてしたたかに尻餅をついたらしい。
ジャイアンにやっつけられたのび太くんのように地面に転がって泣いている。
地面はコンクリート。頭でも打ったら大変なので、その隣の子は上手かもしれないけど息子は初めてなんだからヘルメットをかぶってするように、と、家の中に戻った息子に言い聞かせながらも、ちょっと思ったのは、
「たいしたことないのに、まるで4歳児が転んだような泣きか方だったなあ・・・おいおい」
その痛みで世界がいっぱい、みたいな。そこには「転んで恥ずかしい」とか「泣いてみっともない」とかいうためらいやバツの悪さのようなものが微塵もなかった。
↑てなことについて、「もう10才になるってのに、あのくらいで、あんな赤ちゃんみたいな泣き方しちゃってるから、驚いちゃった(大丈夫か、うちの息子?)」と、夫に苦笑しながら話すと、夫曰く、
「まあ、しょうがないよね〜〜。だって、痛くてもがまんして泣くな、なんて、これまで生きてきて一度も言われたことないんだから(苦笑)。」
ああ、そうか。
そうだ。
息子がまだうんと小さい時、歩き始めたくらいのときから、息子が転ぶたびに手は貸さないで一人で立つのを待つようにはしていた。そして一人で立った息子を褒めるということはしていた。
でも、転んで痛くて泣く息子に「泣くな」と言ったことって、ないんだよね。
痛いのをがまんしろと言ったこともない。
結果(?)息子は、「あのくらいの尻餅で、なんでそこまでゴーカイに泣くかねぇ」という、痛みに弱い(苦笑)、すぐにぴ〜ぴ〜と泣く、そういう意味ではへたれな少年にと育っている。
あちゃ、しまったかな?と若干思いつつ、子供って、育てたように育つのねえ、なんて思ったり、自分も子供の頃は泣き虫だったなあ、と思い出したり。
そして私は夫に言ったのだ。
まあさ、痛いのをがまんして泣かない方が“かっこいい”んだろうとは思うけど、痛いんなら痛いって言ってぴ〜ぴ〜泣いた方が、人生、楽だし自由なんじゃないかなと思ってさ。
健さん(高倉健さんのこと)は確かにかっこいい(←あくまで例えとしてお名前借ります)。
でも、健さん、幸せだったんだろうか?と、私は思ったちゃったりするのだ(←しつこいですが、あくまでシンボルです。高倉健さんご本人がどうこうというつもりはないです。大体知らないし。)
まあ、健さんは伝説のスターだから別格として、普通の人が健さん目指してもえらい大変だし幸せじゃないような気がする。
やせがまんの美学というのが分からんでもないし、若い頃はそういう男の人をかっこいいと思ったこともあったかもしれないが(今は思わない)、私は自分の息子にはかっこいい人生よりも幸せな人生を歩んで欲しいのだ。
痛いのをがまんできずにぴ〜ぴ〜と泣く男は、端からみればかっこ悪いとか情けないとか思われるかもしれないが、泣いてる本人としては、やせがまんして痛くないふりをしているよりも、楽なんじゃないかな、自由なんじゃないかな、ひいては、幸せな人生を歩けるんじゃないかな、と思って。
だから、痛くてもがまんして泣くな、とは言いたくない。
ましてや、男なんだからそうしろ、とか、言いたくない。
だから、まあ、泣き虫でへたれでも、いいんじゃないかな。
(てか、子供の性質って、親が何かどうこうできるものじゃないんだろうから、こうして、ちょっとしたことで痛くてぴ〜ぴ〜泣いているのが息子のもともとの性質なんだろうし。笑)
息子が尻餅ついて泣いてただけのことから、かなりの飛躍なんだけど(笑)、私はそう思ったのだ。
夫は黙って微笑んで聞いていた。
多分、「なんか、また、一人で飛躍してるぞ」と思ったんだろう。笑。
----------------------
私のコーチングのクライアントさんは、女性の割合の方が高いけれど、男性のクライアントさんも何人かいる。
女性だから男性だから、生きていくのが大変とか楽とか、もちろんないんだけど、「ぴ〜ぴ〜と泣く」のは、男性の方がハードルが高いんだな、ってことは感じる。
念のため、ほんとにぴ〜ぴ〜泣くか否かということではない。
また、コーチングのセッション中に実際にぴ〜ぴ〜と泣いたクライアントさんというのは女性であれ男性であれ、これまでにはいない。
でも、自分だって、ぴ〜ぴ〜と泣きたいときがあるよ、って言える場と時間を、少しでも提供できたかな、と思うときがある。そのクライアントさんが、女性であれ、男性であれ。そう思えるときは、ああ、セッションやって良かったな、と思う。
---------------------
話を息子に戻すと・・・ただ・・・ティーンエイジャーになって女の子とデートする機会とかあって、何かの拍子で痛い目にあったとき、あんな風にぴ〜ぴ〜泣いたら、ドン引きされて、間違いなくふられちゃうよなあ・・・と思って(私ならドン引きする。笑)、ちょっと罪悪感を感じる母であった。
* 息子の名誉のために追記すると、身体的な痛みには弱い息子ですが、そうじゃない部分では「おお、ガッツあるな」と思うこと、ありますf^^;;

