「ただ何度も電話すればいいだけのことだから」

もう10年以上前ですが、中国の上海に長期間滞在したことがあります。博士論文のデータをとるために、ある日中合弁会社の中で「フィールド・ワーク」と呼ばれることをしていました。そちらで働いている人たちにインタビューをしたり、そこでの会議の様子をビデオに撮ったり・・・そのリサーチの詳細はさておき、その滞在期間中、その会社の方達以外にも上海で働いている日本の方と何人か交流させていただきました。

その中のお一人がAさん。当時確か30代の女性。上海で芸能事務所の社長をしてらして、成功していて、まさに「ばりばり」と働いておいででした。

たまたまゆっくりとお話させていただく機会があった時に、上海のローカルの方と一緒に働く中での、いわゆる文化の違いというか、商習慣の違いというか、人間関係の在り方の違いというか、そういう様々な、中には、びっくりするようなことも(あくまでふつ〜の日本的な感覚で言うと、ってことですが)ナマで聞いて、すごく面白かった。

で、約束の概念というか、時間の感覚というか、そういうのが違うという話になって、仕事の約束をしたはずなのに来ない、とか、いついつまでと期限があるはずのことが終わらない、とか、そもそも忘れちゃってる、ということが(日本と比較して)多い・・・ということも伺ったんですね。

それで私「え〜〜、そういうのって、大変じゃありませんか?ストレスたまりませんか?嫌になっちゃいませんか?」と『いかにも』って感じのコメントのような質問のような、そんな言葉を彼女に言ったんですね。

そうしたらその方、こう言ったんです。しごくあっさりと。何でもないことのように。

「ううん、別に。何度も電話したらいいだけのことだから。」

(「は〜〜〜〜〜。そりゃそうだ。なるほど。でも、すごいぞ、この人。」)

私、素朴に感嘆しました。そして、やっぱりこいいう人だから、これほど若くして外国で(それも上海などという生き馬の目を抜くような場所で!!)成功してらっしゃるんだな〜、と思いました。

「何度も電話したらいいだけのこと。」
確かに。だって電話するしかないもの。相手が約束を忘れちゃってたら^^;;

だから私も、電話するでしょうね。

でも、私なら「あ〜、また来ないよ」とか「なんで約束通りしてくれないわけ?」とか「もう、電話しないと、ぷんぷん」とか「仕方ない・・・電話するか・・・」とか、いろいろな『荷物』を背負って電話しちゃうと思うんですよね。

それこそ一喜一憂というか、一怒一怒(あ、こういう言葉はありません。作りました^^;;)。

でも結局「する」ことは同じなんですよね。「電話する」ことなんです。
DOingは同じ。

でもそのDOingに従事するとき、自分がどのような状態であるか、つまりBEingがどうあるか、っていうのが、彼女と(仮定ですが)私と全然違う。

私たちがみな外国で会社を起こすわけではありません。
でも、そうじゃない日常のささいなことや、毎日の仕事の中であっても、こんな風に、図らずも、或は別に好き好んでじゃなくって、「しなきゃいけないこと」ってありますよね。

ただ、「する=DOing」ことそのものはコントロールできない&選べないかもしれないけど(だってしないといけないことだし、外的要因に左右される部分がより大きいし)、それをするときの自分の状態(すなわちBeing)って・・・自分次第なんです。選べるわけです。それは実は自分の中(だけ)のことだから。

仮定の中の私のようにあれこれと文句を言って荷物を背負って一喜一憂、一怒一怒して電話するか、この女性のように「ただ何度も電話すればいいだけだから」という心持ちで電話するか。

どちらかよりハッピーに、ストレス少なく過ごせるか、働けるか。ひいては、どちらがより成功に近いか。

明確ですよね。

あなたは何か、思い当たる体験、ありますか?